CES@ラスベガス訪問記②

| 2020.2.13


CESが開催されてからもう1カ月経ってしまったけど、あの時会場で受けた衝撃はまだ鮮明に頭に残っている。今回はFood関係のトレンドを特に意識をして回っていたので、箇条書きで紹介していきたい。

①スマート家電の進化

世界各国の家電メーカーがこぞって新機種を出していて、どんどん進化しているスマート家電。スマホでレシピ検索をして、その材料を鍋に放り込んだらスマホのボタン一つであとはお鍋が自動調理してくれる。固めがいいとか柔らかめがいいとか、その辺の個人の嗜好も反映しながら自動で熱加減(火加減)してくれるので、失敗がないし、何より台所に立って物理的に調理をしなくてよくなるので調理に従事する時間を圧倒的に短縮できる。

人は誰しも1日24時間しかないので、そのうち夕飯の用意に15分の下準備と60分の調理で合計75分かけているとして、それが下準備(野菜を洗って切るとか)だけでよくなると、毎日60分の節約になる(1日の4.2%の時間をセーブ)。1年365日なので、年間365時間のセーブということは、365時間/24時間=15日、つまり1年で15日間の時間が浮くことになる(これはすごい!旅行行ける!)

②Home〇〇(家庭用飲料メーカー)

Home coffee maker(コーヒー), home beer brewery machine(ビール), home tea maker(紅茶、抹茶), home cocktail maker(カクテル), home sparkling water maker(炭酸水) など、家で簡単に作れるコンパクトなマシンが多かった。小型、静か、オシャレなデザインで価格はどれもリーズナブル(100ドル未満から、高くても500ドルくらい)。キーワードは「クラフト(手作り)」なのに「容易」で「安価」。また多くのメーカーが、例えばペットボトルなど容器に入ったものを買わずにごみが出るのを最小限に抑えられることもアピールしていた。

③サブスク

Food techを語るうえで避けれないキーワード。②のHome○○のハード機器が手ごろな値段で買えるのは、材料(消耗品)は基本すべてサブスクにして、企業はこのサブスクの方で利益を出そうとしているから。プリンターを格安で売ってインクやトナーで儲ける、あるいはネスプレッソのマシンは無料で提供しカプセルで儲ける、そんな感じ。

④Food delivery software/app

日本で最近ようやく広まってきたが、アジア含め海外ではFood deliveryが非常に盛ん。日本だと出前館やUber eatsあたりになるが、中国ではEle.meやMeituan Waimai, インドネシアではGojekのGo foodやGrabのGrab food,シンガポールのFoodpandaやDeliverooなど主にはshare rideの広がりとともに一気に利用者が増えている。そんなフードデリバリーをまとめたり、使い勝手をよくするアプリも増えている。Doordush, Grabhub, Seamlessなど自分が全然知らないappも沢山あった。

冷静に考えると、①~④はすべて有機的につながっている。①スマート家電が増えることで、家で調理するハードルが下がる。また④のデリバリーが容易になることで、家で食事をすることが増える。すると、②の家庭用飲料メーカーがあると便利ということになり、この需要が増える。そして②のビジネスモデルは③のサブスクが基本になる。

日本で生活しているとほとんど感じないが、日本の外では明らかに①~④はトレンドになっており、しかもそれそれが相まって加速度的に発展していることが分かった。ではこの流れが日本にもやってくるのか、あるいは日本でもトレンドと呼べるほどVisibleになっていくのか、これについてはそうとは言い切れないように思う。

海外のトレンドだから日本にも少し遅れてやってくるというのは、Airbnbの民泊やタクシー配車アプリが日本でも広がってきたようにあながち間違っていないと思う。しかし、民泊しかり、シェアライドしかり、電子マネーしかり、日本は世界のトレンドからだいぶ遅れて広まるし、その浸透の仕方も実際は非常に表面的であって浅い。

アジアで人口の多いインドも中国もインドネシアも、Airbnbはさほど広がらなくてもソフトバンクが出資したことで有名になったOYOが生まれ広がったり、ワイマイ(出前・配達)が当たり前になったり、Gojekが経済を変えたりしていて、それと比べると日本は本当に遅く、変化が少ない。だから良いとか悪いとかではなく、また既に社会・経済が成熟しているからどうだとか議論するつもりもないが、ただ事実として、日本のガラパゴス化は明らかに携帯だけでなく多くの現象においてあてはまる。

なので、CESに行って感じたのは、海外のトレンドが日本にもやってくるかどうか考えるのも重要かもしれないけれど、それより遥かに重要なのは、既に海外は海外で常に変化し続けており、もし自社のビジネスを日本国内にとどまらず国外にも展開したいのならば、このようなトレンドは知っておかなければならないということ。

私みたいな京都の小さなチョコメーカーの経営者が、世界経済のトレンドと日本の市場の乖離を目の当たりにして焦ってビビってるくらいなのだから、そりゃ世界の第一線で戦っていトヨタの社長が焦ってCESでスピーチした後、すぐに帰国して社員にこう言ったのもよく分かる。

トヨタ社長年頭挨拶

正直言ってこの動画には心底しびれた。これ以上刺さるメッセージはないと思うくらい素晴らしいスピーチだと思った。もちろん経営者と社員では、見ている景色が異なるわけだから、トヨタの社長が感じる危機感を社員も同じように感じるのは残念ながら極めて難しいと思う。でも、事実として海外の動きは速い。そしてかつては日本が世界経済を先んじていたが、今や世界の流れの主流つまりメインストリームにはもはやいないということをしっかり認識しないといけない。

世界はグローバル化が進み、ITの発展で情報はリアルタイムで国境を越えて広がっている。一見すると、どんどん小さな世界になっているように思えるけど、実は収束したり同一化しているのではなく、こと日本に関しては完全に他の国とは違うところにいる。

次回はそれを最も感じたことについて書きたいと思う。