カカオとろけるテリーヌショコラ
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dari K to the World
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ゴロンタロ訪問記① ~トウモロコシの真実~

久しぶりの更新になりました。よく人気ブロガーだと、記事の冒頭に「全国○○万人の読者の皆様、こんにちは」なんて書いていますが、私のこのブログは何人が読んでいるんですかね。どれだけが読んでいるかも分からないのに適当に書けないので、少なく見積もってはじめましょう。家族と社員で10人は超えるので、確実な線でいきます。

全国10人のDari K吉野のブログ読者の皆様、こんにちは。

今インドネシアから帰国しました。なんというかですね、「旅にハプニングはつきもの」とはよく言ったものですが、私の場合「ハプニングなしの旅はなし」といっても過言ではないのはこのブログの熱烈なファンのあなたならご存知の通り。

今回の目的地は、インドネシアのスラウェシ島なのですが、いつもの西スラウェシ州ポレワリ県というところではなく、ゴロンタロ州ボアレモ県というところにJICAのプロジェクトで行きました。

そこでいったい何をするかというと、ゴロンタロ州はスラウェシの他の州と比較して、あまりカカオが栽培されておらず、トウモロコシ農家が非常に多いのが特徴。しかし、トウモロコシ農家は山を焼いて耕作地を確保するので(焼畑農業)、森林伐採がかなり深刻。しかも、原油価格がここ最近ずっと低調なので、トウモロコシの価格も急激に下がりました。

「え?なんでトウモロコシの値段と原油(石油)価格が関係あるの?」って思われる方も多いかもしれません。ちょっと解説してみましょう。

原油は私たちの生活の至るものに使われていますよね。車や船、飛行機のなどのガソリンはもちろんですが、プラスチックやペットボトル、ビニール袋、化学繊維の服などにもです。ということは、原油の価格が上がると、私たちの身の回りのものの価格も付随して上がるということです。

だとすると、原油価格が上がると困りますよね?そこで世界が目を付けたのがバイオ・エタノール。つまりトウモロコシとかサトウキビなどの植物を発酵・蒸留してエタノール(アルコールの一種)を作り、それをたとえばガソリンの代わりにするということ。それができれば、原油価格が上がっても、別のもの(エタノール)で代用することができるので、私たちの暮らしは安心ですね。もっとも、原油価格が低いときには、あえてバイオエタノールを作らなくても原油を使えばいいので、高くなった時だけ原油の代わりのエネルギー源の需要が上がるっていうことです。

つまり、原油の価格が上がると、その代替燃料となるバイオエタノールの需要が増加して、その原料となるトウモロコシやサトウキビの値段があがるということ。なにも急にトウモロコシ・ブームが起こってコーンを食べる人口が増えた結果としてトウモロコシ価格が上がるとか、甘いものを大量に消費するようになったのでサトウキビの価格が上がるとかではないわけですよ。昔はトウモロコシ=自家消費用食物(Food)だったものが、換金作物(Cash Crop)になり、それがいまやエネルギー作物(Energy Crop)になっているのです。

下のグラフをみてください(分かりやすいように統計データとって、ビジュアル化しましたよ!)ほら、びっくりするくらい原油価格とトウモロコシの価格は同じ動きをしているでしょ?

原油&トウモロコシ

さて、話を元に戻して、原油価格が最近とっても下がっているので、トウモロコシの価格もかなり低調でした。原油価格が今後上がるか下がるかは分からないけど、トウモロコシを生産している農家にしてみれば気が気じゃないわけですよ。自分が作っているトウモロコシの価格が、それが美味いかまずいかという質ではなく、はるか遠くのOPEC(中東を中心とする石油輸出国機構)が原油供給量を抑えるとか増やすとかで原油価格が決まり、その影響を受けつつ、さらにアメリカとかオーストラリアとかの気候のコーン畑に対する影響も加味され、最終的にトウモロコシの価格が決まるわけです。農家は大変!!

ってなことで、最近価格が低く、かつ焼畑で森林伐採も著しいボアレモ県のトウモロコシ農家にカカオの栽培方法を教えましょう、というプロジェクトです。カカオなら果樹なのでいちいち焼畑しなくていいので森林をキープすることができるし、価格もエネルギー作物であるトウモロコシよりは変化が少なく底堅いので、所得の安定と向上を図れるという論理ですね、はい。

で、インドネシアでトウモロコシ農家に誰がカカオ栽培を教えるの?ってなったら、「ダリケーでしょ?」ってなって、いつやるの?ってなったら「今でしょ!」ってなって、行ってきたわけです。(*注意:実際にはド真面目なプロジェクトです)

さあ実際どんな出張だったのか。続きをお楽しみに!