春爛漫・今だけのトリュフ
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dari K to the World
ブログ

コロナとカカオ

コロナの影響が全世界に深刻に広がる中、ほとんどの産業が大打撃を受けていますね。自身に余裕がない状況下においては、世の中を俯瞰したり、他の人の状況まで考えることって難しいですよね。

Dari Kは、「努力が認められる社会を作る」という大きなミッションを掲げて設立した会社組織ゆえに、下図の上段ように自分たちをチョコメーカーと位置付けてカカオの生産者を支援するというやり方ではなく、下図の下段のように、自分たちはカカオのサプライチェーンをすべて乗せた船のように位置付けています。

CSRからCSVへ

 

したがって、会社としてはコロナの影響でダメージを受けてしまっていますが、メーカー的な立ち位置だけではなく、思考としてはカカオ&チョコのサプライチェーン全体がどう影響を受けているかを常に考えるようにしています。そうなってくると、新たな視点が必要になってきます。それは何かというと、カカオ農家はどれだけコロナの影響を受けているのか?ということです。

ところで、カカオの国際価格というのは、ロンドンとニューヨークの先物市場で決まります。当然コモディティゆえに需要と供給のバランスにより価格は動くという性格はあります。具体的には、世界でチョコレートの需要は新興国の所得水準の増加とそれに伴う嗜好品(チョコ含む)の需要の高まりによって伸びているので、供給面でカカオが豊作であれば価格はあまり上がらないし、不作でカカオがあまり流通しないとなれば価格は上がります。

しかし、カカオの国際相場において需給(需要と供給)以上に重要なファクターは、投資マネーの存在です。カカオの国際相場に影響を与えるのは、いわゆる実需と呼ばれるチョコレートメーカーやそのメーカーにカカオ豆を卸す商社の他に、カカオ豆は要らないけど投資でお金を儲けたい投資家の存在があるのです。

個人で株やFX(為替)をやっている人は多いと思いますが、なぜ株やFXをやっているのでしょう?株の場合は、上場している企業の株価を上げて、その会社が成長するお手伝いをしたいからでしょうか?あるいはFXの場合は、日本円を買って円高にして日本国の通貨の価値を高く保ちたいからでしょうか?

99.99%の人は、そうではなく単にそれでお金を儲けたいだけですよね?それと同じです。カカオの先物を買う人、売る人は、それを原料としてチョコを作るメーカーだけではなく、単にこの取引でお金を儲けたい人も沢山含まれるのです。

そうなってくると、興味深いことが分かります。下のグラフを見てください。これはアメリカのダウジョーンズ(日経平均のようなもの)とカカオの取引価格の推移を表したものです。

カカオ相場とダウ

青線が株価(ダウ)、赤線がカカオの価格を示していますが、赤丸で囲ったところを見てください。株価が下がるタイミングでカカオの価格は上がっていますよね。また株価が上がるタイミングでカカオの価格は下がっています。つまり、株価とカカオの価格は反比例(負の相関)があると言えます。

どういうことかというと、投資家にとって、株式市場が盛り上がっていないとき(株に投資してもリターンが少ないと思われるとき・不況のとき)は、カカオなど商品相場にお金を投資した方が儲かりやすいし、逆に景気が良くなってきそうなときは、株式市場にお金を投資した方がより多くの利益を取れると判断してお金を運用しているということです。だから、上のグラフのように、株とカカオの価格は反比例することが多かったんですね。

では今回のコロナ・ショックも同じ現象が起こっているのでしょうか?つまり、株式市場は大暴落しましたが、カカオの価格は急騰したのでしょうか?

カカオ相場

上の図から分かるように、カカオの価格は今年のバレンタイン前日2月13日に約2,900ドルの高値を付けた後、コロナの影響が顕在化するに伴って急落し、2200ドルまで約25%も下がってしまいました。そう、これまで株とカカオの価格は反比例することが多かったのですが、今回のコロナ・ショックは、カカオの価格にも大打撃を与えたのです。

他のコモディティも調べてみましたが、カカオの価格の落ち込みは非常に大きいのに対し、小麦やコメ、トウモロコシ、コーヒーなどはそれほど影響を受けていません。このインプリケーションは色々あると思いますが、ミクロでみると何が考えられるでしょう?

おそらくカカオ農家はこう思っています。「コロナの影響でカカオの価格が下がってしまった・・・これから収穫というのに、なんてこった。あれ、米やトウモロコシ、コーヒーを栽培している隣の農家は、価格があまり変わってないらしいぞ。なんでカカオに限って・・・もうカカオの栽培やめようかな。」

下の図は2009年~2019年の10年間のインドネシア人の1人当たりGDPの推移と、インドネシアのカカオ農家の平均所得を示したものです。これを見れば一目瞭然ですが、人口も増えて経済成長著しい新興国のインドネシアにあって、1人当たりGDPは着実に伸びている一方で、カカオ農家はただでさえ天候不順や災害、地震など自分でコントロールできない要因によって生産量が安定せず、また価格もニューヨークで決まるため、所得は不安定かつあまり増加していないですよね。物価が毎年5%くらい上がっているのに、所得が伸びていなかったら、実質的に貧しくなってしまっています。悲しいことに、今回のコロナによるカカオ価格の下落は、これに追い打ちをかけるダメージを農家に与えているのです。

GDPとカカオ農家所得

まだ見えないコロナの先行きですが、私たち同様、ガーナやインドネシアのカカオ農家も今非常に苦しい時を迎えています。外出が控えられることにより、外食産業など目に見えてダメージを受けているところが目立つ一方で、産業連関的な視点で見れば、その裏にある沢山の産業も大きな被害を被っています。水面上にある氷山の一角への補償だけでなく、水面下にある大きな課題、それは得てして我々が見過ごしやすいところですが、その課題を私たちは認識しないといけませんね。

このような問題意識の中、少しでもインドネシアのカカオを買い支えられるよう、Dari Kではご自宅で「カカオからチョコレートを作るキット」を特別価格(なんと送料込で2,000円!)で提供することにしました。今私たちにできることは、農家が手塩に掛けて育てた高品質のカカオ豆を使って、自宅で出来る本格チョコ作りの魅力を知ってもらうことだと考えたのです。

なんと、4月18日(土)13:00からは、Dari K本店からライブでこのキットを使ってチョコを作る映像を発信する企画も実行予定。詳細は手作りチョコレート・キット特別企画をご覧くださいね!お子様から大人の方まで、是非一緒にお家でカカオ豆からチョコレート作りを楽しみ、その画像をカカオ農家に届けようではありませんか!!コロナに負けるな!皆様のご参加、お待ちしております!

キット

  <おまけ>

カカオ農園ってこんなとこ!現地農家からバーチャル・農園散策ができる動画を送ってもらいましたよ。是非ご覧あれ!

バーチャル・カカオ農園散策はここをクリック★