CES@ラスベガス訪問記①

| 2020.1.28


CESという展示会を聞いたことがあるだろうか?

2週間ほど前、TVや新聞のニュースで、トヨタが「人、建物、クルマなどが情報でつながる実証都市『Woven City』構想」を発表したり、ソニーが「安心・安全、快適さやエンタテインメントなどを追求するモビリティの取り組み『VISION-S(ビジョン エス)』の試作車」を発表したと報道があったと思うが、これらの発表の場になったのがCESである。

CESとは元々Consumer Electronics Showの略だったので、日本語では「家電見本市」と訳され、そのまま家電メーカーによる展示会と認識されているケースがある。私自身、CESという言葉自体は度々耳にしていたが、あくまで世界的な家電メーカーが新商品を発表するような展示会かと思っていた。

しかし実態はというと、CESの家電色は年々薄くなり、今や誰もが知っているようなグローバル企業からスタートアップ企業まで、全世界のモノづくり系企業が自社のビジョンやコンセプトを世界に発信する場になっているという。

出展企業は約160カ国・約4500社を数え、国別では米国1600社以上、中国1000社以上、韓国やフランスが300社以上となっている。日本の出展企業は残念ながら100社未満で、トヨタや積水ハウスなど大手の他、JETROが集めたスタートアップが数十社はあるものの、国としてはシャープやパナソニック、ソニーや日立など家電色が強い構成だ。

一方で外国の企業はITを使ったスマート家電、スマートホームなどの展示はもちろんあるものの、非常に尖ったサービスを発表したり、イノベーティブな未来を語ったり、あるいはそもそも発売を見込んでいないコンセプト用のプロト機を展示したりと、通常の「商品をアピールして売る」目的の展示会とは異なる様相を呈していた。

このように、CESの家電見本市としてのイメージは薄くなり、ITやモノづくり含むテック系の企業のビジョンやコンセプトの発信の場として全世界が注目するイベントになっているが、私は今年、このCESを訪れた。

理由はただ一つ。世界の大企業からスタートアップまで、規模の大小に関わらず今後自分たちはどのような社会を作っていきたいか、あるいはどのように社会課題に対峙していくのか、その生の声を聴き、熱量を感じたかったからだ。この理由の裏側には、昨今の日本とそれ以外の地域の、進む方向と速度の差が非常に大きくなってきていると感じているという事情があった。

去年はラグビーのワールドカップに沸き、今年はオリンピック。2025年には大阪万博を控え、明るいニュースにあふれているように見えるが、その陰では、台風や地震、森林火災、異常気象、気候変動など天災がはびこっている。

今世界で何が起きていて、それに対していつ、誰が、何をしなければいけないのか、一度立ち止まって考える必要がある。世界の大企業は、あるいは世界のスタートアップは、どんなビジョンを持っていて、どんな手段でそれを実現していくのか。直接その場に行ってその空気を感じたい、そう思ってラスベガスに飛んだのだった。