春爛漫・今だけのトリュフ
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dari K to the World
ブログ

2019年を振り返って

あと3日で2019年も終わり、2020年が始まります。ちょうど1年前の今頃、2018年末に書いた記事を読み返すと、

・仕事では海外出張が非常に多かった

・インドネシアのカカオ農家を日本に招待することができた

・自然災害が多くいろいろ考えさせられた(2018年9月28日のスラウェシ地震はM7.5で犠牲者約3,000人)

・「挽きたてカカオ」がコンセプトの新業態「オブローマ990」を京都駅にオープンした

・2019年は自分たちの存在意義を考えて行動していきたい

と記していました。

2019年を振り返るとどうでしょう?

「ダリケーとしての存在意義を考えて2019年は行動していきたい」と昨年末に考えていましたが、概ねこれに叶ったことができたのではないかと思っています。

正直ここには書けない悔しい想いや悲しい想いはたくさんしました(泣)。世間をアッと言わせる商品発表まであと1歩のところでつまずいてしまったり、大きな社会インパクトを出せるプロジェクトのローンチのタイミングが遅れてしまったり・・・。

もちろん、「形にならなければ成功とは呼べない」という認識は個人的に正しいと思っています。結果を出さなきゃ、意味がない!チャレンジだけなら誰でもできるしね。でも、実現しなかったこれらの試みを「失敗」と呼ぶには、あまりに学びが多い挑戦の数々ができたというのが今年の率直な振り返りです。

そして当たり前のことですが、何かをやるには何かを捨てないといけない、ということも身をもって学びました。よく例えで使うのですが、私たち一人ひとりは(会社でも、国でも同じですが)それぞれカゴを持っているとイメージしてください。そのカゴの中に、自分がやりたいこと、やらなければならないこと、どちらでもよいこと、などのボールを入れていくわけです。

自分のバスケット

まだカゴにボールがあまり入っていない状況では、どんどんボールを入れていく余地があります。しかし、ボールを入れれば入れるほど、当然ながらカゴはボールで埋まっていきます。そして最終的には新しいボールが入る余地は全くなくなってしまいます。

このパンパンのカゴには、ボールを追加で入れたくても入れることができません。人間だれしも1日24時間しかないので、その時間的制約と自身のキャパシティの中で、ボールを無限に入れることは不可能なわけです。というわけで、2019年はDari Kとして多くの苦渋の決断をすることになりました。本店を半年間休業するとか、6年間営業してきて地元の方にも観光客の方にも本当に愛されていた祇園店を12月25日をもって閉店するという決断などがそれです。

とはいえ、私の中で店舗の重要性は微塵も変わっていません。ただ、ありがたいことにDari Kというブランドの認知度が徐々に上がり、京都各地のホテルや京都駅でもDari Kの商品をお取り扱いいただくようになるにつれ、直営店舗の存在意義については悩むようになってきました。

2011年の創業当時、Dari Kにとっての店舗とは、お客様に自分たちの思いや活動を伝える場として「やらなければならないこと」でした。しかし、Dari Kのブランドとその活動の認知が広がっていくにつれ、今度は現地の活動(自分たちがやらなければならないこと)の相対的な重要性が増してきたのです。その活動とは、取りも直さず農家が愛情込めて育てた高品質なカカオ豆を、その時の国際相場でなく努力が報われると感じられる価格で買い取り、そのカカオ豆をさらに広げる仕組み作りのことです。数軒の契約農家から始まったDari Kも8年で500を超える農家との直接契約になり、その数はまだまだ増える一方です。

他方、日本でも海外でも、bean to barブランドやチョコレートメーカーの仲間たちがスラウェシ島のDari Kの契約農家や発酵施設を訪れてくれ、カカオ豆や半製品を扱ってくれるようになりました。

すると、店舗という位置づけが、「自社でやらなくてはならないこと」から「自社で必ずしもやらなくてもよいもの」へと色が少しずつ変わり始めたのです。同時に、自分の中でも、Dari K商品を扱っていただいているホテルや駅の売店と比較して、直営店舗でしか出せない提供価値(特別な商品やその場でしかできない体験)を創出できているのか?という問題意識が徐々に大きくなってきました。

極端に言えば、商品を買うだけならオンラインのお取り寄せでも良いわけです。オフラインの店舗で、かつ直営店でしか出せない価値といった場合、Dari K社員による接客というソフト面のサービスの他に目に見える違いを出せていないのではないか?そうだとしたら、直営店でしか販売しない商品や体験できないことを提供しないといけないはず。でもその一方で、Dari Kにしかできない多くのチャレンジ(特にカカオ生産地での活動)がまだ手付かずで残っているではないかという自覚が強まっていたのです。そして熟考の末、一度色が変わりはじめ、外に出せるボールは外に出し、その時々で相対的に重要なボールから優先順位をつけ、改めてカゴに入れていくことにしたのです。

自分のバスケット2

 

本来、私がもっと器用であれば、生産地の活動と消費地での展開を同時並行で進められたのですが、それが叶わず、私のカゴは既にボールでいっぱいでした。ただ幸いなことに、通常チョコレート屋さんとしてみると、店舗数が少なくなることは即ち事業の縮小を意味しますが、Dari Kの場合はビジネスとして収益は安定的に伸びています。Dari Kはその時々で重点的な取り組みが変わるので、客観的にみると「あれ?大丈夫?」と心配される節があるかもしれませんが、今から4年前の2015年社会イノベーター公志園でのスピーチでお話ししたとおり、今でも想いや軸は全くブレていません。むしろ多様なバックグラウンドを持つ社員が次々と加入する中で、より自由な発想で、より大胆な施策を考えることができるようになってきていると自負しています。

「努力が認められる社会」を作るというビジョンの下、「カカオを通して世界を変える」ことがDari Kのミッションです。そのためには、カカオを「脱コモディティ化」することが不可欠で、これにより生産農家も自然環境も持続可能な状態に近づけることができると考えています。(ここで「脱コモディティ化」とは、単にカカオの価格を国際相場から切り離すことを意味するのではなく、カカオの未だ見ぬ可能性を拓くことで、その価値と現在のいわゆるチョコ原料としてのカカオの間に意図的に歪(ひずみ・ギャップ)を生み、世にその価値を認めてもらうことまでを意味します。)

世間にとってカカオはチョコレートの原料に過ぎないけれど、カカオの可能性は水面下に沢山眠っています。その眠っている(まだ世間に知られていない)価値を、Dari Kは現地での様々な活動によってこれまで探ってきました。2020年は、この水面下に潜むカカオの価値・可能性を水面上に出すチャレンジをしたいと思っています!(よろしければTKC「戦略経営者」掲載の今どきのソーシャルビジネス “カカオ革命”を世界に…チョコレートショップの挑戦をご覧ください!)

氷山の一角

2020年は、これまで以上にチャレンジしていく年になるのは間違いありません。皆さんもDari Kのチョコレートを食べて、是非ご自身のチャレンジを楽しんでください!

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 2019年も応援ありがとうございました!来る2020年もよろしくお願い致します!

★年末年始は下記にてDari K商品をお買い求めいただけます!★

■【オンラインショップ】いつでもどこでも!

■【Dari K 本店】

2020 年 1 月 4 日(土)営業再開(定休日:火曜日)

住所: 〒603-8205 京都府京都市北区紫竹西高縄町72-2

TEL:075-494-0525

営業時間:11:00~17:00 (定休日:火曜日)

■【Dari K オブローマ京都駅店】

*大晦日も元旦も営業!

住所: 〒600-8215 京都府京都市下京区東塩小路釜殿町

(JR 京都駅西口改札 南北自由通路(南側)「亰(みやこ)」)

営業時間:8:30 – 21:00(ラストオーダー 20:30)定休日なし

(※休みは施設の休館日に準じる)

■【有楽町マルイ1F 期間限定店舗】

期間:2020年3月31日(火)まで:1月1日はお休み

住所:〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1

営業時間:平日・土曜 → 11:00 ~ 21:00

日曜・祝日 → 10:30 ~ 20:30

※12月31日は11:00~18:30の営業、1月1日はお休みになります。