Dari K(ダリケー)

Dari K to the World
ブログ

~フルーツ発酵とブルーシートとクレイジーと~

前回のブログ「フルーツ発酵」について語りますにて、「フルーツ発酵」ができるまでの軌跡について書きました。

この「フルーツ発酵」の新作生チョコレートは、現在クラウドファンディングのサイトであるマクアケにて、12月25日(金)まで先行販売を受け付けておりますが(1月以降順次発送致します!)、締め切りまであと48時間を切りました。

お蔭様で今支援者数は240人を超え、年明け早々に皆様に発送すべくDari Kでは着々と準備を進めております。残り48時間、まだの方は是非「フルーツ発酵のチョコレート」マクアケの先行予約サイトから是非ご予約ください!

さて、この「フルーツ発酵」カカオ豆から作るチョコレートがいよいよ完成したわけですが、私には2つのミッションがあります。

1つ目は、こうして日本のお客様にお届けすること。特にカカオに興味がある方(もちろん同業の方々も!)や、チョコレートの奥深さに目覚めてしまった人には、こういうアプローチができたことを是非知っていただきたいと思っています。一方でチョコ好きだけど、カカオ豆を発酵させるとか詳しいことは知らなかった人たちには、ぜひこれをきっかけに原料カカオの面白さ・奥深さに知っていただけたらなと!

もう1つのミッションは、完成したフルーツ発酵カカオ豆で作ったチョコレートを、カカオ農家に届けること。Dari Kのインドネシア現地法人であるPT KIC(PTは株式会社、KICはKakao Indonesia Cemerlangの略で「輝かしいインドネシアのカカオ」の意)では、カカオ豆を農家から買い取るのですが、そのほとんどを、収穫してすぐのカカオの実を割ったばかりの状態(発酵前のまだ白いパルプがついた状態)で買い取ります。

そして、KICのフィールド拠点にて、現地駐在員の足立こころの指揮のもとでローカルメンバーたちが一生懸命発酵箱に入れ、温度を測り、記録をつけながら発酵管理をしています。

通常の発酵であればこの流れなのですが、今お話している「フルーツ発酵」をするには、ものすごい下準備が必要になります。それは、オレンジやライム、パッションフルーツを調達して、切ったり割ったり、ペーストにしたり、果汁にしたりと色々な準備をするわけです。

するとどうでしょう?大量にパサール(現地の市場)でライムを買う姿を見たDari K/KICの契約農家は「え?KICはカカオ豆のトレーダーではなかったの??フルーツもやるの??」と疑問を投げかけます。

あるいは、私たちはこの「フルーツ発酵」を極秘プロジェクトとしてやっていたので、これまでパルプ付きのカカオ豆を木箱に入れてバナナの葉っぱで覆っていただけなのに、フルーツ発酵するときは、青いビニールシートで発酵箱を覆ったり、あるいはそこに置いてある大量のフルーツをシートで覆うものだから、「何々?KICは何か隠してるの?」と多くの契約農家が質問してくるわけです。

それも1週間や2週間ではなく、2年もそんなことをしていたので、500人いる契約農家の頭の中は「?」だらけ。私たちとしては、これが原因でDari K/KICは怪しくて危険な存在と思われたら困るので、「秘密の実験をしてるんだ~ラララ♪~」と言いながら笑顔で切り抜けてきました。

もちろん、発酵箱にフルーツを入れてるところを見た農家が、他の農家にこっそり「秘密」を漏らして広がったのか、数カ月もすると「KICはブルーシートで何かマル秘な発酵をしている」ということでなんだかみんな納得しているようでした。

しかし!!もう隠す必要はありません!この「フルーツ発酵」カカオのチョコがめちゃくちゃ美味しいと分かったのだから!

ということで私の2つ目のミッション「フルーツ発酵カカオ豆で作ったチョコを農家に届ける」ために、インドネシアに行ってきました。

時はコロナが広がる最中。日本のコロナ感染者が20万人を超えている今、インドネシアは60万人越えと3倍以上。インドネシアの人口は2.5億人と日本の約2倍であることを考えても、インドネシアの方がコロナに関しては感染が広がっています。

観光目的や出張の人でも今はインドネシアには渡航できないのですが、私は現地法人PT KICの代表でもあるので、就労ビザや滞在許可があり、それで渡航することができました。

しかしまあ、予想はしていたけれど成田空港はガラガラ。

成田空港

もちろん飛行機の乗客も少なく、こんなに空いているのは10年インドネシアに通って初めてというくらい人は少なかったです。
深夜についたジャカルタでは日本で受けたPCR検査の証明書などを提出し、体温測定など諸々チェックを受けて無事入国。

そしてスラウェシへ(ジャカルタからスラウェシへは国内線で約2時間)。今日もバティックエアは小さいぜ!

Batik air飛行機って、機内食が楽しみですよね。国内線バティックエアの機内食はこちら↓

機内食

Pisangとはバナナの意味。バナナパン!?!?さすがインドネシアだぜ!

パンバナナクリーム少なっ!さすがインドネシアだぜ!

ということで、10年もインドネシアに通ってると、何の驚きもないインドネシア国内線ですが、さすがに1年ぶりの渡航となると、思わずツッコミたくなってしまったぜ!

そうしてマカッサルにつき、PT KICのパートナーであり、現地契約農家を束ねるリーダーの1人、Ical(イチャル)さんと再会。

Icalコロナ禍で農家はどう過ごしているのかを話しました。

スラウェシ島でも、マカッサルという都市とカカオ農園があるポレワリ県は車で8時間くらい離れています。それゆえ、農村ではそれほど深刻さを感じているわけではないものの、皆手洗いやマスク着用など予防はしっかりしているとのこと。確かにコロナ感染者が重症化する確率は日本よりもインドネシアの方が高く、それゆえ「コロナにかかったらヤバイ」という危機感は非常に強いように見て取れます(飲食店だけでなく銀行でも、なんと入口には、アルコール消毒ではなく洗面台を設置して手洗いをしてから入るようにしているところもチラホラ!)

そんなこんなで世間話をしてから、いよいよミッションであるフルーツ発酵のチョコレートを食べてもらいました。すると・・・・
「(パクッ)お!! お!? おおおぉぉぉ!!!!!」

1回目の「お!!」→なめらかでめちゃ美味しい

2回目の「お!?」→フルーツの爽やかな酸味が徐々に出てきて驚く

3回目の「おおおぉぉぉ!!!!!」→数年間かけて出来た新しいチョコへの感動

ということで、Icalは上の写真にある「アボガド・コーヒー(アボガドシェイクにエスプレッソを入れるTheローカルおしゃれコーヒー)」をすすりながら、しばし黄昏タイムに入るのでした。

私は他にも沢山仕事があったので、残りすべてのフルーツ発酵チョコはKIC現地駐在員の足立こころとIcalに託し、各農家に配りまわってもらうことに。その時の写真がこちら↓

フルーツ発酵1

フルーツ発酵3

フルーツ発酵2

フルーツ発酵4

実際にその場に居合わせた足立こころによると、どの農家さんも、あの時KICがこっそりやっていた「ブルーシートの秘密」が分かって、「あーあの時のはこうなったのか!」と大盛り上がりだったそう!!そりゃそうだよね~、大量の果物とブルーシート。ようやく謎が解けてよかった、よかった!

普段はビターなチョコレートが苦手な甘党のカカオ農家さんたちも、このフルーツ発酵のチョコはすごく美味しいと大絶賛!カカオ64%なのに、写真の小さな子供たちまで大喜びで食べていました。

いやー、嬉しいなぁ。カカオを栽培している人が、自分たちのカカオで作ったチョコを食べることはない現実なんて、くそくらえじゃないですか!作る人も、食べる人も、みんなHAPPYになろうじゃないか!!

ということで、ミッションを完了した私はスラウェシを後にしスラバヤへ。

スラバヤには、インドネシアのカカオ・チョコレートを広げようと現地で頑張っているKorte(コルテ)chocolateの若き起業家Jeffery(ジェフリー)がいる。彼は昨年、スラウェシのKICの拠点にも来てくれて、夢を語り合った仲だ。

korte

友人と↑Jeffrey(右)とKIC駐在員の足立こころ(奥)

ちなみにKorte chocolateのJeffreyのみならず、インドネシアのFarm to Barで有名なKRAKAKOAのSabrina、最近ではJALの日本=インドネシア路線のスナックも手掛けるEast Bali CashewのAaronなど、インドネシアのクラフトチョコブランドの創始者はDari K・KICと親交が深く、彼らみんなKICのフィールドを訪れてくれており、僕らはインドネシアのカカオの魅力を広げる志を共にする盟友だ。

話を戻して、このあと、私はいくつか他のマル秘ミッション(そう、まだまだワクワク㊙ミッションはあるのだ!)を遂行するためにスラバヤやジャカルタで動き回り、帰国した。

今回、Dari K・KICのパートナーとして契約農家500人をまとめてくれているHerwin(ヘルウィン)さんに言われたこと。
Herwin

Dari Kはクレイジーだ。今回もカカオを発酵するときに、果物を入れるとか言い出した。最初は意味が分からなかったよ。正直なところ、半信半疑だった。とりあえず一緒にやってはみたけれど、実際どんな風になるか想像がつかなかった。でも今、フルーツ発酵のチョコレートを食べてみて分かった。いつものカカオ豆とは違って、こんなに香り豊かで特徴のあるチョコレートの原料になったんだ!信じられない!そして既にこのチョコを食べようと、多くの人が予約してくれているなんて(Makuakeでの先行予約のこと)!Dari Kはクレイジーだけど、誇りに思うよ」

実は私自身、6年くらい前にHerwinさんに同じようなことを言われた。その時は、まだ現地法人PT KICはなく、彼の家の倉庫にチョコレートを作る大きな大きな機械を導入した時のことだった。自分の体より大きなその機械をインストールして、チョコレートを作った。産まれて初めて、カカオ農家が、自分で栽培したカカオでチョコレートを作った瞬間だった。8時間くらいかかって、出来上がった。既に外は真っ暗で、無数の星が輝いていた。

ヘルウィンさんはつぶやいた。

「Dari Kはクレイジーだ。こんな大きな機械を、こんなスラウェシの田舎に持ってきた。最初は意味が分からなかったよ。インドネシアはカカオを作る場所で、チョコを作るのは日本だと思ってたから。でもDari Kがこの機械をここに持ってきてくれたお蔭で、俺は初めて自分のカカオで作ったチョコレートを食べることができた。こんな味になるなんて知らなくて何十年もカカオを育ててきたんだ。どういう気持ちか分かるか。Dari Kはクレイジーだけど、誇りに思うよ。」

2014 choco