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【インタビュー記事】「アートと食を繋ぎたい」アンテルーム京都がテリーヌに込めた想い

ホテル アンテルーム京都の朝食レストラン「ANTEROOMS MEALS」で提供されている特製テリーヌ。アンテルーム京都は「アート&カルチャー」をコンセプトに掲げており、特製テリーヌにも現代アートの要素が散りばめられています。10月末までの期間限定の特製テリーヌ「野菜畑と鶏のテリーヌ カカオの香り」にどんな想いを込めたのか、テリーヌのレシピを考案された藤原淳シェフにお話を伺いました。

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アートをモチーフにした特製テリーヌ「野菜畑と鶏のテリーヌ カカオの香り」

 

―現代アートをテーマに創作されたテリーヌだそうですが、どのようなアートを表現されているのですか?

 

現代アートの美術家である、宮永愛子さん(以下、宮永さん)の作品をモチーフにしています。宮永さんの作風は空気や気泡を閉じ込めるのが特徴で、ローズマリーやタイムを煮出して作った透明のハーブのゼリーで空気や透明感を表現し、テリーヌの上に被せています。

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字ではなく気泡がちりばめられた透明の本。宮永さんの作品の一つ。

 

―なるほど。テリーヌには野菜や鶏肉が使われていますが、これにも意味があるのでしょうか?

 

テリーヌにはごぼうや人参、大根、ラディッシュなど根菜を使っているのですが、土の中に閉じ込められて育つ根菜は「変わりながらも存在し続ける世界」をテーマに掲げる宮永さんのアートと共通する部分があると思い、あえて根菜のみを使っています。ANTEROOMS MEALSは朝食レストランなので、根菜に合いつつも朝食としてさっぱりと召し上がっていただけるよう、鶏肉のテリーヌにしました。ソースの横にはカカオニブを添え、畑の土を表現しています。カカオニブはカカオ特有の上品さや香り高さがあり、テリーヌのアクセントとして、スパイスのような役割を担っています。

 

―先ほどテリーヌを試食させていただきましたが、カカオニブは根菜、特にごぼうとよく合いますね。

 

カカオニブとごぼうはどちらも「大地」のような、一言で言い表せない複雑な風味が感じられ、互いの良さを引き出し合っていますよね。本当はごぼうと鶏のテリーヌにしても良かったくらいなのですが、そうすると全体的に茶色っぽくなってしまうので、彩りを考えて人参やラディッシュなどの根菜も使いました。

 

他にも、京都の農家さんからいただいたナスをジャムにしてカカオマスと混ぜ合わせたものを開発中です。ドーナツにかけて食べると美味しいですよ。

 

―ナスとカカオのジャムですか!野菜とカカオって合うんですね!?

 

「カカオ豆=チョコレート」というイメージが強いので意外に思われがちですが、カカオ豆には素材のうまみを引き出すようなコクがあり、スパイスほど主張が強くないのに料理のアクセントになるので、特に肉料理と合わせやすいんです。

 

テリーヌにアートの要素を散りばめることで、アートを身近に感じてもらいたい

 

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こちらも10月末まで期間限定の「赤葡萄と牛肉リエットの二層仕立てテリーヌ」。「野菜畑と鶏のテリーヌ カカオの香り」と日替わりで提供されている。

 

―現代アートをモチーフにしたテリーヌは、いつから始められたのですか?

 

実は2ヶ月前に始めたばかりなんです。2ヶ月ごとに期間限定のテリーヌを2種類、日替わりで交互に提供しており、今回が第2弾です(現在提供しているもう1種類は「赤葡萄と牛肉リエットの二層仕立てテリーヌ」)。コロナ禍で客足が減ってしまっている今、改めてアンテルーム京都はお客様に何を提供したいのかを見つめ直した時、アンテルーム京都の原点はアンテルーム京都のコンセプトにも掲げる「アート」であり、そこは譲れないと思いました。そこで、料理でもアートを表現したいと考え、現代アートの作り手が作品に込めた想いを汲み取り、テリーヌで表現するという企画が立ち上がりました。

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アンテルーム京都には芸術家が内装を一部屋丸ごと手掛けたコンセプトルームがある。こちらは宮永さんが手掛けた内装で、コンセプトは「reading room」。

 

―実際にテリーヌに対する反応はいかがですか?

 

先日、宮永さんがご家族とテリーヌを食べに来て下さった時、宮永さんの5歳のお子様がお母さんの作品だとすぐに気づいてくれて。透明のハーブのゼリーを見てそう感じてくれたのかなと思うのですが、テリーヌを自分のお母さんの作品と理解していたような感じでしたので、嬉しかったですね。

 

アートって、美術館に行かないと触れられない、少しハードルの高い世界だと思うんです。でも、私たちにとって身近な「食べること」とアートを掛け合わせることで、美術館に行かなくてもアートに触れられたり、興味を持ってもらえるきっかけになったりするかもしれない。私たちの作るテリーヌが、アートへの間口をほんの少しでも広げられるきっかけになったらいいなと思っています。

 

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藤原シェフによると、山や畑、土から採れる素材とカカオの相性が良いそうで、たとえば赤身の牛肉を焼いたものに塩とカカオニブ(ローストしたカカオ豆を砕いたもの)を付けて食べると美味しいのだとか。デザートでは、バニラアイスやヨーグルトにかけると、カカオがふわっと香り、食感や風味のアクセントになります。よかったらぜひ一度お試しください。

 

カカオニブはほろ苦くて苦手、という方は、カカオニブをミルクチョコレートでコーティングした「カカオニブチョコ」がおすすめです。そのままおやつとしてお召し上がりいただいても美味しいですし、アイスの上にかけてもお楽しみいただけます。