春爛漫・今だけのトリュフ
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dari K to the World
ブログ

FOODTECHを終えて

9月7日~9日は大阪インテックスで行われた国際食品産業展 FOODTECH(フードテック)に参加してまいりました。

 

来場者数は17,611人で、これは2日以上にわたって ご来場いただいた方も1名としてカウントしているため 延べ人数はもっと多いことになります。

 

Dari Kは今年の3月に法人登記をし、4月に店をオープン させたので、何もかもが初めてだらけ。

今回のフードテックもDari Kにとっては当然初めての 展示会へのブース出展でした。

しかも、以前のブログでもお伝えしたとおり、初日の 12:00-12:40にプレゼンテーションをすることに なっていたので、かなり楽しみではありました。

今日はこのフードテックを終えての感想を 書いてみたいと思います。

 

3日間で多くのことが ありすぎて、どこから書き始めればいいのか 分からないほどですが、とにかく今回の出展を 一文字で表すと「驚」です。

初日、ほぼ徹夜明けの朝7時には電車に揺られ ショコラティエと会場に向かっていました。

会場に着いてチョコレートを並べたり、 パソコンのチェックをしたり、写真やバナーを 飾っているとすぐに開場の放送が!

果たしてどれだけの人が来てくださるのか、 どんなに来場者数が多くてもDari Kのブースに 来て頂かなくては意味がありません。

すると、どうでしょう。無名のDari Kでは ありますが、人がどんどん来て下さるではありませんか!

 

しかもお話をしていると、「岡山から、製菓学校の 先生に勧められて」とのこと。

とっさにその「先生」の ことが頭に浮かびました

。以前Dari K店舗に足を 運んで頂いた方です!

 

すると今度は「ホームページやブログをいつも拝見していて 今日講演するということで聞きに来ました」と仰って くれる方が。

何ともありがたい話です。

プレゼンテーションのスライドを時間をかけて作った甲斐が ありました!

 

こうして次から次へと人がDari Kブースに立ち寄って 下さり、Dari Kの試みであるカカオ豆の焙煎のこと、 豆の産地のインドネシアのこと、発酵の重要性などを ご説明させて頂きました。

 

そしてプレゼンテーション。

12:00からの予定ですが、直前までブースで説明するのに 必死になっており、開始5分くらい前に係りの人が 「既にご来場者の方が着席しているので、すぐに 来てください」と呼びに来られました(汗

 

いざブースを去ろうとすると、なんとインドネシア貿易促進 センター(ITPC:Indonesia Trade Promotion Center)の 所長がお目見え。

すぐにインドネシア領事館の総領事も 私のプレゼンを聞きにやってくるとのこと。

 

「おぉ!」

 

無名の、しかも「Dari K」なんて社名からは何やってる 会社か分からないところの社長(私)が講演したって 席がガラガラでも仕方ない、そんな風に最悪を想定 していた私にとって、サプライズの連続でした。

 

そしてプレゼン会場に入ると、既に午前中にブースでお会いした 方や、岡山の製菓関連の方々、京都のレストランのシェフ、 大阪のインドネシア企業の方などの顔が!

知っている方がいると、やはり話しやすい!

昔はプレゼンなんて聞くと緊張してのどがカラカラになって 手が震えて、どうしようもなかったですが、 いつからか全然緊張しなくなり、その日も とても落ち着いていました。

 

なんでしょう、スピーカーが緊張すると、聴衆にも それが分かってしまい、「大丈夫か、この人」って 目で見られると、余計にスピーカーはあがってしまうんですよね。

 

話す内容はスピーカーしか分からないわけだし、 どうせやるなら堂々と!緊張してもいいことない、って 割り切ったら、結構緊張しないようになるものです。

 

そんなこんなでインドネシアのカカオ豆やカシューナッツの ことをお話しました。

 

ただ単に「すごいんです、 美味しいんです」と言っても仕方ないので、 記憶に残るよう図と絵とグラフを多用しました。

例えば2001年1月から2011年9月6日(プレゼンの前日!) までの日経平均株価を見せて35%以上も下落していることを 示す一方、同時期にカカオもコーヒーも価格は3.5倍 以上になっていることを示しました。

 

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また世界のカカオ豆の7割はアフリカで生産されており コートジボワール、ガーナに次いでインドネシアは世界第3位の カカオ産出国なのに、日本のカカオ豆の輸入先は ガーナが8割以上で、コートジボワールもインドネシアも ほんの数%しかない理由も示しました。

 

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もちろん、他のチョコレート屋さんや洋菓子屋さんのチョコレート とDari Kの製造工程の違いの説明は必須です!

 

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今度は図をつけての説明。

 

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カシューナッツも写真で説明。

 

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こうしてプレゼンテーションが終わる頃には席は ほぼ埋まっていました。

 

どれだけ私の想いが 伝わったか分からなかったけれど、とりあえず ブースにお越しいただき、実際に商品を見て 食べていただくことにしました。

 

すると、ほとんど全ての方がそのままブースに お立ち寄り下さり、様々なお話を個別にさせて 頂きました。

 

中にはこの前日にたまたま Dari Kのことを知り、これまでのブログを 全部見てきて下さった方や、アフリカの カカオ農園で行われている児童労働について 危惧されている方など、実に様々な方が、 実に様々なお考えでDari Kに興味を持って 下さっているのが分かりました。

 

中には製菓業界の大手企業の社長・社員、 有名パティスリー・ショコラトリーのシェフ・経営者の 方もおり、私が持っていない技術や経験を持つこれらの 方々とお話することは本当に刺激的で、励まされる部分も 多々ありました。

名前は挙げられませんが、いつか お会いしたいと思っていた方々がブースに来てくださって チョコレートについてお話できたのは本当に嬉しい限りです。

 

そんなこんなで、3日間、振り返ってみれば あっという間でしたが、お陰様でこの上なく充実した 展示会になりました。

そしてこの大成功だった展示会の 成功の要因は何だったか、一人反省会をしたんです。

 

「試食を有料にする」

それがこの答えでした。

 

食品展示会なので、どのブースも食べ物を扱います。 商談をするにもまずは知ってもらわなければ、ということで 多くの企業が試食を無料で配っていました。

 

はじめは私もそれを考えていました。

食べてもらわなければ、Dari Kのチョコレートの良さを 分かってもらえない。

だから通常のトリュフの3分の1の 大きさのトリュフを特別に作り、それを配る予定でした。

興味ある人向けにだけ、通常の大きさのトリュフと 木箱入りのチョコレートを販売すればよい、そう思っていました。

 

でも初日の、開場のそれこそ10分前に、他のブースが 試食をつくり始めているのをみて、私は無料で配るのを やめる決断をしました。

 

確かに無料で配れば、みんな立ち止まって食べてくれるでしょう。

もし自分が一般の来場者であれば、(興味があろうがなかろうが) 試食があればもらうだろうし、ましてや「焙煎したての カカオ豆で作るチョコレート」なんてアピールしてたら 食べたいと思います。

 

でも、Dari Kには語ることが、説明すべきことが ありすぎます。

大して興味もないのに、チョコの試食を 目当てに並ばれても意味がありません。

チョコを配るので 精一杯で本当に興味がある人が誰なのか、見分けることさえ 出来なくなってしまう。

そう考えたのです。

 

しかも、です。タダで配ったら、期待値が下がります。

逆に言うと、お金を出すと、期待値は上がります。

タダだったら、そのありがたみも味わいも深く考えずに 美味しければラッキー、そうじゃなかったら 「まあタダだから仕方ないか」となってしまいかねません。

 

でもお金を払うとこうはいきません。

美味しくて当たり前。

美味しくなかったらがっかりです。

味に対するハードルは確実に高くなります。

「なーんだ、1個350円もするのに他のチョコと大して 変わらないじゃない」

そんな風に思われるかもしれないのです。

 

結果は、しかしながら、サプライズでした。 まず本当に興味がある人が買ってくれたので、その方達に しっかりDari Kのチョコレートの特徴をお伝えすることが できました。

 

そして、味に対する期待値の上がった彼らにでさえ 「なるほど」と食べて感じて頂くことが出来ました。

今回の来場者は全て業界関係者。味には普通の人の2倍も3倍も こだわる方々です。

その方達に「これは美味しい!」と 言ってもらえたこと、「(普通のチョコとは)全然違う」 「こんなチョコ初めて食べた」こう言って頂けたことが どれだけ多かったことでしょう。

 

多いというレベルではなく、 誇張なしに100%だったと思います。

「えっ・・・」っていうような表情を見せた人はひとりも おらず、それどころか「こんなに手間かけて、これだけの 味で350円は安い」と言って頂けたり、「有料の試食で良かった。タダだったら申し訳なくてもらえない」と 言ってくださった方までいらっしゃいました。

 

京都にお店があるというと今度行くと仰ってくれたり お取り寄せをするとか、レストランで使わせてもらいたい、 料亭で出したい、ネットショップで売りたい、多くの ポジティブな反応を得ることができました。

 

全て手作りで量産ができないため、卸売りは 難しい旨伝えましたが、こういうオファーを いただけたことは嬉しい限りです。

 

率直なところ、味には自信があったものの、業界の人に これほどまでに認めていただけたというのが驚きで、 同時にものすごい励みになりました。

このような貴重な経験が出来たのも、 インドネシア貿易促進センターの皆様のサポートを はじめ、インドネシア領事館の方々のアレンジ (総領事だけでなく東京の大使館からも農業担当官の方が わざわざお越し下さいました)、そしてブースに お越しくださった皆々様のお陰です。

この場をお借りしてお礼申しあげます。

 

今日は9月11日。

あの同時多発テロから10年。

東北大地震から半年。

Dari K設立からもちょうど半年 ということになります。

うちの実家も地震の影響が 少なからずあり、一時は起業どころではない、しばらく 実家にいなければ、と思っていましたが、母や妹の 応援で頑張ることにしました。

 

今日からまた心機一転、日本では本当のカカオの味の伝道師に、 スラウェシの人にとっては風変わりな日本人から とんでもないことを起こす日本人になるべく、 Dari Kを率いていきたいと思います。

まだまだ プロジェクトは始まったばかり。 皆さん、これからもよろしくお願いします!