Dari Kチョコのおいしさの秘密3つを大公開!③

| | 2020.5.31

前回のDari Kチョコのおいしさの秘密3つを大公開!②では、「決まった作り方はない。その時のカカオ豆によってチョコレートの作り方は大きく変わる」ということをお話しました。今回はおいしさの秘密最後の会「③おいしさは味覚だけではない。生産者含めwin-winな取り組みにより、頭でもおいしさを感じる」ということについて書きたいと思います。

そもそもですが、このDari Kチョコのおいしさの秘密①&②で書いたことをシンプルに表すと「原料」と「製法」ということになります。これは味の絶対評価につながるものです。たとえば、味覚センサーや香りの分析をすれば、数値となって出てくる類のものと言えるでしょう。

しかし、「おいしい」と感じるのは紛れもなく私たち人間であり、人間である以上、事実は同じであっても、ある情報が入ると、その評価が変わったりするのはよくあることです。例えば、極端な例ですが、AさんはBさんを刺殺したという事実だけを聞けば、私たちはAさんは悪者だと思うでしょう。しかし、Bさんは全く罪のないAさんの家族全員を殺害したという情報を一緒に聞いていたら、Aさんではなく悪いのはBさんだと思うのではないでしょうか?

あるいは、いま、目の前に光り輝くダイヤモンドを見せられたとします。ダイヤモンドは4C(カラット・カラー・カット・クラリティの頭文字から)と呼ばれる評価基準があり、仮にこのダイヤモンドは4Cすべてにおいて最上位の品質だとしましょう。このダイヤが最高品質というのは事実であり、あなたはこのダイヤに対してとてもキレイで魅力的だと思うことでしょう。

しかし、もし「このダイヤはアフリカのある国の鉱山で、人身売買されて連れてこられた数千の人が奴隷のように働かされているところで見つかったものなんだ。過酷な労働ゆえに毎日数人が亡くなるような大変な環境で採れたダイヤなんだ」と聞かされたらどうでしょう?この情報が入る前と後で、そのダイヤの美しさに対する評価は変わらないでしょうか?

チョコレートも同じです。よく言われていることですが、世界の一部のカカオ農園では児童労働が存在します。学校も行けず、小学生くらいの子どもが人身売買され、朝から晩までカカオ農園で働いている。その事実を知ってもなお、そのカカオ豆で作ったチョコレートを美味しいと感じることができるでしょうか?

チョコのおいしさの秘密の①は「原料」、②は「製法」でした。しかし、私たちが決して忘れてはいけないのは、①と②で絶対的なおいしさを作ることはできるけど、本当においしいと感じるには、③「サプライチェーンの誰かが犠牲になっていない」、いやむしろ「サプライチェーンのすべての人がハッピーである」ことが必要なのです。

Dari Kを創業した2011年から言い続けていることですが、確かに「生産者を搾取しないこと」や「フェアトレード」は重要。ただ、何が搾取なのか?何がフェアトレードなのか?というと、非常に難しい。今のカカオ豆の国際相場の価格は搾取なのか?フェアなのか?国際相場に20%上乗せした価格は本当にフェアなのか?何%上乗せすればフェアと言えるのか?

児童労働は良くないことだと誰もが感じている。でもなくならないのはなぜなのか?児童労働がある国のカカオを使うメーカーが悪いのか?そのメーカーのチョコを買う消費者が悪いのか?

もしメーカーは、自分たちが調達したカカオ豆の産地で児童労働が行われていると知らなかったとしたら?それでもメーカーに責任はあるのだろうか?あるいは、児童労働のカカオ豆で作られたチョコを、その事実を知らずに食べた消費者に責任は全くないのだろうか?

私は思う。カカオの国際相場(価格)は低すぎる。下の図を見てほしい。世界第3位のカカオ生産国であるインドネシアを例に挙げると、カカオ農家と、インドネシア人の平均所得は差は年々大きくなっている。なぜか?それは、カカオの国際価格には、生産者の生産コストや、生産国のインフレ率や最低賃金が加味されていないからだ。

GDPとカカオ農家所得

これはカカオに限ったことではない。下の図は、カカオとコーヒーのNY市場の先物価格の推移だ。これを見れば、世界経済、とくに新興国の経済成長が著しかった過去10年の間に、カカオやコーヒーの国際価格がどうだったか一目瞭然だ。どれだけ上がっているだろうか?上がるどころか下がっているのが現実なのだ。

コーヒーとカカオの価格推移

カカオやコーヒー農家は、国際価格が下がっているから所得は下がる一方だ。しかし、農家以外の人の収入は毎年上がっている。それに応じて軒並み物価も上がる。肥料の値段も、生活費もすべて上がる。そんな中、自分が作っている作物の値段は上がらないのだから、自分の生活は苦しくなるばかり。名目所得は上がっていても、インフレ率を考えれば実質所得は減少する一方だ。

こんな状況が長く続くと思うだろうか?Dari Kは2016年に現地法人をインドネシアに設立した。それまでは出張ベースで現地に飛んでいたが、現地法人を立てて、駐在員を置き、そして見えてきたことがある。それは、農家は「自分の家族を養っていけないと思えば、農家をやめる」ということだ。当たり前だ。でもその当たり前を世間は分かっていなさすぎる。

昨今のコロナもあり、大企業を中心にBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)が叫ばれているが、最もクリティカルなのは、原料の生産者は今後もこれまでのように原料を生産し続ける保証はないということ。みんな守るべき家族がいる。みんな必死に考えている。21世紀になり、多くの原料生産者がスマホで様々な情報にアクセスできる今、いつまでも過去と同じことが今後も続くと考えないほうがいい。

閑話休題。

Dari Kのおいしさの秘密3つめであり、最も重要なのは「生産者にとっても消費者(お客様)にとっても、win-winな取り組みをしていること」です。世の中には、事実として「おいしいチョコ」は山ほどあります。だからDari Kが存在しなくても、正直なところお客様はおいしいチョコには困らないと思います。

でも、Dari Kがいないと困る生産者は沢山います。この10年で契約農家は500人を超えました。Dari Kが存在しなかったら、この500人のやる気のある生産者は、もしかするとカカオ栽培をやめていたかもしれません。そう考えると、味としてのおいしさだけでなく、その過程もフェアで安心できるチョコレートは、実はそんなに多くないのではとも思います。

ところで、Dari Kの生チョコが入ってる木箱のフタ。このフタをあけると、裏側に焼き印が施されているのご存知でしょうか?

木箱

「自家焙煎したカカオが香るチョコレートを大切なあなたに・・・」そしてこの下には英語で"Every piece of chocolate is a gift from our passionate cacao farmers"(このチョコレートひと粒ひと粒は、やる気に満ちて頑張るカカオ農家からの贈り物です)と焼き印で書いています。

私たちのチョコレートの裏には、「顔も名前も知らない」ではなく「顔も名前も家族も趣味も知ってる」家族のような農家がいます。そんな契約農家さんたちが、Dari Kのチョコを食べる皆さんのことを思い浮かべながら、暑い中、毎日頑張ってカカオを栽培している。そのチョコがおいしくないはずがないんです!!だから、この3つのおいしさの秘密を知って、ぜひ今後もDari Kのチョコをお楽しみいただけたらこの上なく嬉しいです。

さて、「おいしさの秘密」最終回はこれにて終了。小さなチョコレート屋の創業者が、何人読んでくれているのか分からない自身のブログで内に秘めたる思いを声高に叫んだところで、世の中は変わらないかもしれません。でも、コトの重大さ、そして緊急さに業界や消費者の皆さまが気付いてくれたら、世界はきっと変わるはず。だから敢えて大手メーカーを挑発するような大袈裟な言動をしたりすることもありますが、本音はチョコレート業界が会社の垣根を越えて、真剣にサステナビリティ(持続可能性)について一緒に考えたいんです!

ということで、これからもDari Kは「カカオを通して世界を変える」べく頑張ってまいりますので、引き続き応援よろしくお願い致します!

*本連載1回目からは下記のリンクからご覧いただけます。

Dari Kチョコのおいしさの秘密3つを大公開!①

Dari Kチョコのおいしさの秘密3つを大公開!②