春爛漫・今だけのトリュフ
春爛漫・今だけのトリュフ

dari K to the World
ブログ

Can you appreciate it?

今日あるお客様が大阪から
わざわざDari Kにお越し下さいました。
以前も大阪や神戸、滋賀など京都外からでも
わざわざお越し下さったお客様はおりましたが、
京都の繁華街である四条河原町や烏丸から
だいぶ距離がある三条商店街のDari Kにまで
市外から来て下さるって、ほんと感動ものだと
思うんです。
「チョコ好きで、豆から作ってると知って
興味持ったので大阪から来てみました~」と、
もうそんなこと言ってくださるものだから
めっちゃ嬉しくなりました!
それで、色々お話してチョコを食べて頂いて
「カカオの香りが広がって美味しい」と
仰って頂けて、これはもうチョコ職人
冥利に尽きますね。
ちなみにですが、この方のブログを拝見して、
度肝を抜かれました。チョコに関するブログですが、
もうブログというより、カタログというか
この情報量と味に対する的確な描写、画像、
どれをとっても比類なきクオリティで、
金融テーマ以外のブログでここまで
感動させられたのは初めてです☆
ところで前にも書いたと思うのですが、Dari Kの
チョコレートの一粒315円というのは、板チョコが
100円で買えることを考えると、また牛丼が
300円でおつりがくるこのご時世を鑑みると
高いと思われても仕方がないと思ってます。
でも、です。Dari Kはカカオ豆を商社を
介さずに輸入するわけです。豆の産地である
インドネシアから、パートナーと協力して
原産地証明を取って、コンテナを手配し、
輸送中にかびたり虫がよってこないように
燻蒸措置の指示を出すんです。
それと並行して決済のためにドル円相場をみて
ドルに変え、現地の銀行に送金。
コンテナが港に着けば、農水省の植物検疫やら
厚労省の輸入食品検査を経て、関税・消費税を
支払い、店舗近くの貸し倉庫まで運送・保管etc...
しかもカカオ豆の価格は毎日カカオ豆相場で動いているので
チェックしなければならないし、インドネシアで
カカオ豆の害虫である蛾が発生していないか
現地の知人に定期的に聞いたりもしています。
しかもここまでは豆を仕入れるまでの段取りであって
豆のローストから、皮むきから粉砕から
ペースト化までどんだけ時間がかかることか!
いいんです、好きだからやってるので!
美味しいチョコを、本当にカカオに忠実な
チョコをつくりたいからやってるので
いいんです。
でもこれだけの手間と作業量を
考慮した場合のチョコ一粒315円って、
客観的にコスト計算しても奇跡的に安く
抑えられていると思うんです。
しかも手作りだから生産量なんてたかが
知れてますし、生産者に還元する部分を
多くしたい面もあり、利益最大化をビジネスの
核とするならば、Dari Kはビジネスの主流とは
かけ離れた存在です。
元金融業界にいたので、その時の知識と経験を
活かしてこれ以上できないほどの効率化を
してのこのお値段。だから正直、植物油脂を
使ってる市販の板チョコと比較されては
何とも言えないし、牛丼と比較されちゃ
やっぱり何とも言えないです。
人それぞれ、何に価値を見出すか、
適正な対価の考え方は違って当然。
私自身、よく牛丼屋は行くし、立ち食いそばも
よく行ったし、でも職人さんが握る
寿司屋にも行くし、素材にこだわり抜いた
レストランにも行きます。
貧乏旅行で世界一周していたときは、
1日の移動・宿泊・食事すべて込みでも
500円も使わない時も多々ありました。
もちろん土産だってとことん値切りますが、
それが手作りのバッグや彫刻の時、私は
それを作るのにどれくらい時間がかかるか
聞いて、無理に値切りませんでした。
そこだけは、守ってました。
それは職人に対するrespectだし、
その文化であれ産業の継承と発展のための
消費者の責任だと思うからです。
(ちなみに今私が愛用している耳かきは
おかんが数年前にデパートの職人市で
見つけてきたもので、職人が手で一本ずつ
木を削って作ったもので1本5000円とかのもの
ですが、やっぱり職人の技には魂が入っていて
いいです!)
モノやサービスを絶対的な価格だけで
判断した結果、粋なもの・上質なものを
味わうことができないなんていうのでは
せっかくの一度きりの人生、もったいない!
で、いったい何が言いたいかというと
「だからDari Kのチョコを買って」、ではなくて
そうやって手間と技がいっぱいかかっている
Dari Kのチョコの価値を分かって試しに
来て下さるお客様がいる、ということが
とても嬉しいということです!!
それを言いたいがために、こんなに長々と
書いてしまいました。でも、最近の
日本人の価値観は、若い人、年配の人に
限らず、「本物」「上質なもの」をappreciateする、
つまり評価する姿勢も、その力も
なくなってきたように思えてなりません。
経済状況が厳しいから節約、それは
多いに結構。でもappreciateする力を身につけるには
それなりの知識と経験、そして投資も必要です。
英語のappreciateという単語(動詞)の意味は
「評価する」の他に「真価を認める」
「鑑賞する」「感謝する」という意味があります。
身の回りのもの、是非appreciateしてください。
まずは「鑑賞して」しっかり「評価し」、
その「真価を認め」、「感謝する」。全て
appreciateです。
Dari Kはチョコの世界では新米ですが
appreciateされるチョコレートを作り続け
られるよう、今日もまた頑張ります。