春爛漫・今だけのトリュフ
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dari K to the World
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チョコレートの価格

今、フィリピンでこの原稿を書いています。今年に入って既に3度目のフィリピン。JICAの案件で来ているのですが、戒厳令が出て夜間外出禁止令も出されたり、日常的に停電になったり、ネットが通じなかったり、でもフィリピン人はフレンドリーで優しかったり、インドネシアと違いビール(サンミゲル)があって美味しかったりと、毎度ハプニング続きの中サバイバル出張をしています。

そんな折、早く原稿を書いてくださいと社員からの催促があり、何を書こうか迷っていたのですが、今日はチョコの値段について書きたいと思います。

実は私は、幼い頃からチョコレートが大好きで、特にチョコアイスやチョコクッキー、アーモンドチョコ、チョコウェハースなどには目がなかったんです。小学生の時に流行った「ビックリマンチョコ」も、友人の多くがシールを集める目的で(つまり「おまけ」が目的で)ビックリマンチョコを買っているのに対し、私は普通にあのピーナッツ入りの食感の良いチョコウェハースを食べたいがためにビックリマンを購入していたほど。たいていの友人はビックリマン・シールだけ取ったらウェハースは食べなかったので、良くそれをもらっていたのが懐かしいです。当時の子供の99.99%は「保有するビックリマン・シールの数≧ビックリマン・チョコを食べた数」だと思いますが、私は「保有するビックリマン・シールの数<ビックリマン・チョコを食べた数」という稀有な存在だったのです。

さて、そんな根っからのチョコ好きな私は、高校を卒業するとバックパック旅行に目覚めます。当時はお笑いの猿岩石の全盛期。TV番組「電波少年」で猿岩石がヒッチハイクして世界を回っているのをみて、自分も行ってみたいとバイトしてお金を貯めては、休みごとにバックパック旅行に出かけました。

その数、ブルゾンちえみではないので「35億」とはいきませんが、60か国くらいは行ったと思います。その中には、カカオの原産地ともいわれるメキシコやグアテマラなどの中米もあれば、ブラジルやペルー、ボリビアなど南米も行きました。また世界のカカオの3分の2を算出するアフリカはガーナ、コートジボワールも行きましたし、インドネシアやベトナム、フィリピンも行っています。

もちろんチョコ好きなので、色々訪れる国々でチョコ製品を買ったり食べたりするわけですが、こうして世界の様々な国を回って気づいたことがあります。それは「日本はチョコが安い!」ということ。

例えば、物価の安いいわゆる途上国に行くと、それこそ普通に屋台でご飯をたべると1食50円~200円くらいなわけで、日本の物価からすると3分の1から10分の1くらいなわけです。ではチョコの値段も同じように日本の3分の1とかかなと期待するわけですが、そうではない!日本とほぼ同じか、高いくらいなんですよ。

これには驚きました。チョコの原料であるカカオが生産される国ということもあり、またそもそも物価が安いということもあり、ともすれば板チョコ1枚10円~20円かなと期待していると、まったくそんなことはないのです!1枚100円~200円なんてざら!ということは、現地の人にとってはチョコは高嶺の花なわけです。

どうしてこんなことが起こるのか?その大きな理由として、チョコの原料であるカカオが生産されるからといって、地産地消されるわけではないことが挙げられます。チョコを作るには、カカオを焙煎して、皮を除去して、豆を潰して何時間も練って・・・という長い工程があるので、通常カカオの生産国でチョコを作るということはあまりしないんですね。

するとカカオ豆を他国へ輸出して、その国でチョコになったものを逆輸入するという形になります。そう、カカオ豆を安く売って、付加価値がついた最終商品を高く買う、そこには輸送費や関税などものってくるので、さらに高くなって販売される、というカラクリです。

ヨーロッパやアメリカでは1.5~2ユーロあるいは1.5~2ドルくらいで板チョコが売っているので、為替を勘案すると日本円で200円ちょっと、という感じで日本より若干高いです。まあ欧米の物価が日本より高いことを考えたら、特別チョコが高いとは感じませんが。

というわけで、世界各国回っても、板チョコが1枚100円で売られているのは日本くらいなんです。そして日本のチョコはクオリティが高いので、日本のチョコのコスパは世界一といっても過言ではないとつくづく思います。

これには日本のチョコメーカーのたゆまぬコスト削減努力があるからだと断言できますが、もう少しチョコは高くしてもいい気がします。だって、カフェで飲むコーヒー1杯300~400円で、それに使うコーヒー豆って10gくらいだし、たとえコンビニのコーヒーだとしても1杯100円ですが、それでも使用するコーヒー豆って10gくらいなわけです。

一方で通常の100円前後の板チョコであっても1枚50~60gにカカオ豆30gくらいは使ってます。豆の原価はカカオとコーヒーでは、その時の市況(国際相場)によりどちらが高いかは一概に言えませんが、豆の使用量は断然カカオの方が多く、また加工もカカオの方が断然複雑ということを考えると、板チョコ1枚100円はありえへんと思うのです。

いやーほんと興味深いですね。こうして世界をチョコレートという視点でみると、いろんなことが見えてきます。シェフやパティシエ、ショコラティエとはまたちょっと違う視点で見る世界、是非これからもご期待ください。あと夏バテ対策にチョコ良いですよ!是非ダリケーのカカオアイスをどうぞ(笑)!