春爛漫・今だけのトリュフ
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dari K to the World
ブログ

ショコラティエへの手紙

バレンタインも無事終わりました。
京都の本店では、バレンタイン翌日からトリュフの個別販売を
再開し、沢山のお客様にお越しいただいております。
特別な時に贈るものとしてだけではなく、
本当に美味しいものを、日常でちょっとご褒美で、
そんなチョコレート屋になるために商店街にお店を出しているんです。
だからこれからも、気軽に、本当にチョコ1個から買いに
来てくださいね!そして遠方の方には、お取り寄せサイトも
新商品のAsli Fresh Cacao(生チョコ)も含めてアップしたので
是非そちらをご利用くださいませ。
さて、バレンタインでバタバタしている間に、TVに出たり、
雑誌に出たり、いろいろメディア露出がありました。
TVに関しては読売TVの「旅ぷら」に出ました。
山田邦子さんと西田ひかるさんが来てくださり、チョコは
もちろん新商品の純米カカオ酒もお召し上がりいただきました。
告知するのをすっかり忘れていて、私自身放送を見逃してしまいました。
もっとも営業時間中だったから仕方ないのですが。
誰かたまたま録画していた方いたら見せてください!
あとは雑誌『女性自身』の取材でV6の長野くんがご来店。
本気でチョコトーク、というかカカオの話をして盛り上がりました。
既に「女性自身」は発売されてます!
そして私もよく読む『料理通信』にも掲載していただきました。
料理通信3月号
詳細な記事は是非料理通信3月号をご覧くださいね。
今日はバレンタインを前にDari Kのショコラティエたちに
送った手紙の内容を公開します。Dari Kでは
とにかくコミュニケーションを重視しています。
何事も全力で取り組むには、迷いや悩みは障害。
100%でなく、120%の力を発揮するためには
モチベーションを120%にまであげなければならず、
そのためにはなぜ今頑張らなければならないのか、
なぜ自分が120%の力を出すことを求められているのか
その意義を理解してもらうことが不可欠です。
皆さんにもDari Kのことをより良く知っていただくために
今日は手紙内容を一部公開します。
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Dari Kのショコラティエたちへ
インドネシアへの弾丸出張から今帰国する飛行機の中で
これを書いています。こんなにも急に海外出張を決めて、
こんなに短期間で海外へ行ってきたのは初めてです。
ジャカルタでも、スラウェシでも休む暇なくとにかく
動き回っていました。
ちょうど1週間ほど前に、韓国の大学生に講演をしたときに
ベンチャー企業の(大企業に対する)優位性の最たるものは
スピードだと話したんです。意思決定しかり、それを
行動に移すことしかり。
大企業や役所のように決裁を仰いでいる間に動かないと、
ベンチャー企業や中小企業というのは大企業に勝てないどころか、
成長すら危ぶまれす。かといって単に早くやればいいという
類のものでもありません。
バランスをとりながら、熟考した上で、判断をしていく。
そこで重要なのは、勘なんです。そしてその勘は
経験を積むことで磨かれていきます。
だとすると経験の質も量も大企業に劣る中小・ベンチャーが
大企業より的確で迅速な判断をするというのは本来難しいですよね。
ましてやスピード感のある意思決定なんて尚更です。
そう、中小・ベンチャーは、そのスピードに優位性があると
言われながらも、実はそのスピードをもたらすための勘が
経験不足のため大企業に劣るという逆説的な立場にあるんです。
下手にスピードだけを追い求めると、誤った判断はしばしば
体力(資金力)のない中小・ベンチャーには致命傷となっていまいます。
それでは中小・ベンチャーはどうすべきでしょうか
その答えは、実は周りを見渡すと分かるんです。
周りといっても、町の企業をみても仕方ない。日本の周りの国を
見てみましょう。 
僕は2年前、Dari Kを始める前に一時ある財団法人で研究員を
していたの知っていますよね。そこで関わったプロジェクトで、
1ヶ月ほどカンボジアに勤務していました。そこでは現地の政府役人に
経済センサスといった国勢調査のようなものを設計したり、その
アンケートの統計処理を教えていました。
1ヶ月も滞在すると、首都プノンペンの様子が分かってきました。
そこで目にしたものは建築ラッシュです。その建設を請け負う会社も、
そのビル自体も、韓国や中国が目立っていました。
そしてインドネシアはジャカルタ。光景は同じです。
ビルがどんどん建っています。韓国や中国勢の進出は止まりません。
「日本は遅い」そう言ったのは現地ジャカルタの実業家でした。
「日本は意思決定が遅い。いったん決断したらお金があるからすぐに
こっち(インドネシア)に来るけど、それを決断するまでに
時間がかかりすぎる」と。
僕はこの理由を考えました。
日本の経済はあきらかに停滞している。それもここ数年でなく
もう10年以上も、です。翻ってインドネシアやカンボジアは
成長著しい。人口増加による内需の拡大と、資源や安価な労働力を
活かした輸出政策によって経済は1桁台後半で伸びています。
だとしたらなぜ日本の企業(大企業)は外へ出ないのでしょうか。
そしてなぜ韓国や中国は積極的に外に出るのでしょうか?
韓国も中国も人口は伸びていないし日本と同様高齢化が
顕著です(韓国やシンガポールの出生率は日本以上に
低かった気がする)。自国の経済成長率が下がってきている
からこそ、彼らは成長を求めてチャンスがあるところに
進出し、その勢いに乗ろうとするのです。
日本も状況は同じはず。でも日本の企業にはスピード感がないんです。
「進出したらあんな問題がでてくるかもしれない。こんな問題も
あるだろう。もうなったらどうしよう。あれが起こったら
どうしよう」こんな風に想定される問題をすべて挙げて、
それへの対策を万全にしてから進出を決めてるんです、きっと。
石橋を叩いて渡るのはいい。でも叩きすぎて壊して、
前に進めなくなったりしているんじゃないかな。
でも他の国は違います。とりあえずチャンスがあるところに進出する。
いろいろ問題はでてくるでしょう。でもそれはその時。
その都度考えて、その都度対処していけばよい。
ダメだったら改善。そう「カイゼン」なんです。
日本が世界に誇った「カイゼン」、これが今、他の国で実践されて、
日本人ができていないんです。
「カイゼン」するにはその大前提としてチャレンジがあります。
チャレンジして、問題が出たり、思うようにいかないから
「カイゼン」の余地があるんです。
小泉元首相じゃないけど、チャレンジなくして「カイゼン」はないんです。
もうひとつ、韓国や台湾、香港や中国がインドネシアやカンボジア
に積極的に進出するには理由があります。それはプレッシャーです。
日本の企業と違って、株主といって会社を所有しているオーナーは
これらの国では外国人や外国の機関が多いんです。そこはまさに
成果主義の世界。
「他国に進出しない=成長できない=結果を出せない=クビ」なのです。
だから彼らはスピード感をもって進出する。問題は当然
起こるでしょう。そうしたらそうしたで、その場で解決策を
考える。進みながら、考える。改善する。
一方日本の企業の株主(オーナー)は創業者であったり、関連企業で
あったりします。海外の投資家(外資系)が入ると、やれハゲタカだ、
やれ金の亡者だ、といって非難する。外資が勝手なことをするから、
リストラがあって失業者が増え、会社をめちゃくちゃにするように
思ってる人もいるかもしれない。でもそれは違う。
株主がおとなしすぎて、株主自身が「リスクはとるな。
よく分からんことに手を出すな」と思っている。
その結果として、経営陣にとってのプレッシャーとは
「結果を出す」ことではなく「粗相をしないこと」になってるんです。
何もアクションを起こさなければ粗相はない。
でも成長もない。成長しても、経営陣の給料はそんなに上がらない。
粗相をすると、クビを切られる。だったら成長なくても
結果が出なくても、粗相をしない経営に走る。
そんな風になっているのではないか、これが私の意見なんです。
韓国や香港(中国)の企業は日本にとってみれば
中小・ベンチャーのような存在だと思います。
経験という面では日本は優位であるし、その経験に裏打ちされた
日本企業の勘はそれなりのものがあるはずです。
それでも海外進出という面で、韓国や香港のようなスピード感が
ない。それは経営陣にとって株主からのプレッシャーが
少ないからではないか、と考えるのです。
つまりベンチャーにとって必要なのは、「プレッシャー」と
「スピード」、「チャレンジ」、そして「カイゼン」。
これらが合わさってはじめて、ベンチャーは
その資金力や労働力、ブランド力など全てにおいて敵わない
大企業に太刀打ちでき、そして追い抜くことさえ可能になるんです。
(つづく)